6. 軽く決断して、最初の1歩は踏み出す。
— そのときは、40代ですか?
岩松:41歳ですね。
独立するにあたって、人を雇うというイメージは無かったので、
ひとり起業、個人事業主でいこうと考えていました。
ちょうど、リクルート時代の後輩の秋山進さんが、
インディペンデント・コントラクター(以下、IC)
という言葉を使っていたこともあり、
ICって働き方は、なんか自分にしっくりくるなぁって思って。
実は、リクルートや転職先のシステム会社にいた時、
個人事業主の方をいっぱい見ているんです。
制作編集や研修講師、
ネットワークエンジニアとかプロジェクトマネージャーとか。
こういう働き方が自分に合っているかもなって思って、
ICとしてスタートしました。
— 個人事業主としてスタートしたんですね。
岩松:そうですね。
そう決めた後に、例の丸山さんと話をしていたら、
「そう言えばK.Tさんには挨拶されましたか?」って言われたんです。
K.Tさんはリクルートで人事部長をされていた方で、
すでにICとして独立されていました。
そこで、
「ご無沙汰しています。この度、独立することになりました」
と、ご挨拶に伺いました。
早速、独立して何をしようと思っているのかを話しました。
そしたら、質問攻め(笑)。
「人事コンサルって、領域が広すぎるけど、
特にどんな領域の業務をするの?」
「どれぐらいの規模のお客様が対象?」
「企業属性でいうと?」
「メインとするお客様の業種は?」
「料金はどれぐらい?」などなど、
そうやって質問されていくうちに、
自分の独立後の生業イメージが固まった感じです。
さらには、「なんとなくやりたいことはわかったけど、それって
◯◯と競合したとき、どんな差別化をするの?」って聞かれて。
あまり考えなかったんでしょうね。
答えに窮して、
「ひとりでやっているので・・・、値段が安いことです!」
って答えたら、
「お前アホやな~。それは最後に言うことや!(笑)」
って、笑われてしまいました。
— あら。
岩松:要するに、どんなお客様に対して、
どのようなサービスで、どれくらいの予算で、
競合との差別化はどうするのかって。
「もっとちゃんと考えや、アホー!(笑)」
って、笑いながら叱られて。
さらに、「ところで、なんぼぐらい稼ごうと思っているの?」
と聞かれた時、
「生活できればいいかな」って答えたら、
「生活できるっていくらぐらい?」
「ちゃんと計算したん?」
「住民税いくら?」「月々の水道光熱費は?」
言葉に詰まってばかりでしたね。
— すごい質問攻めですね。
岩松:それで「ちなみに、いまの年収はいくら?」って聞かれて。
「◯◯万円です」って答えたら、
「じゃあ、その年収の倍を当面の稼ぐ目標にしたらいい」
とアドバイスされました。
サラリーマンは目に見えない部分で経費がかかっているんだから、
それを含めて自分で稼ぐとなると倍が妥当だろうって。
そして最後に、「名刺、ちょうだい」って言われて、
勤め先の名刺を渡そうとしたら、
「この名刺だと、年末に辞めたあと、連絡が取れへんやん!!」
って、また怒られました。
「どこかの商店街でいいので、
個人の名刺をさっさと作りなさい」って(笑)。
— それで準備を始めたんですか?
岩松:自宅に戻って、屋号を考えて
「オフィスRPIC」として、
それから、独立後の“5つの誓い”、“4つの目標”を決めて、
こういう形でやっていきますって、
ご挨拶に行った日の夜に、お礼とともにメールを送りました。
「なかなか、いいんちゃう!」って返信が来て、
ちょっと独立後へのエネルギーが高まりました。
「RPICの読み方を、アールピーアイシーにするか、
アールピックにするかちょっと悩んでます。」
とコメントを書いたら、
「アールピックの方が可愛いし、覚えられやすいんちゃう!」
ってアドバイスまでもらいました。
きっと、あの挨拶訪問が無かったら、
なんとなくの独立をしていて失敗していたんじゃないかなと、
今でも思い出しますし、K.Tさんには本当に感謝しています。
年明けから独立スタートなので、
年賀状は普段よりたくさん送ろうって思って、
挨拶状と名刺を同封した年賀封書を数多くの知人に送りました。
それを見て、何人からか「会おう」
「相談したいことがある」という連絡をもらいました。
これが、立ち上げ時の話です。
— ガチガチに考えて準備をしてという形ではなかったんですね?
岩松:そうですね。
当時、クライアントゼロ、見込み客ゼロで
スタートしたぐらいですから(笑)。
基本的に、僕の人生はそうなんだと思います。
軽く決断して、最初の1歩は踏み出す。
とはいえ、万難を排してというほどには、
準備や覚悟をしてるわけではない(笑)。
もちろん、決めた限りはやり切りますけど。
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岩松祥典さん プロフィール