7. がむしゃらにやりきった先にみえる自分のバリュー
— 「ガチガチに準備をして」より「柔軟性を持って」の方がいいのでしょうか?
岩松:そうかもしれないですね、きっと。
ガチガチにこだわりすぎたら変化できないし、
世の中の変化やお客様のニーズに合わせて、
変化させることのほうが大事なんじゃないかな。
そうすることで見えるものも変わるし、出来ることも変わってくる。
キャリアの話でいうと、Planned Happenstance
くらいの感覚がいいと思っています。
— その考えかた、すごく好きなんです。
岩松:結局、一番最初は自宅で始めて
「インディペンデント・コントラクター」でやっていましたけど、
その後、オフィスを構えて社員を雇っているし、
仕事の形態も業務委託だけでなく
コンサルや顧問契約も増えていったし。
最近では、採用と育成の領域だけと決めていたつもりが、
以前一緒に仕事したことのある方から
「うちの会社の人事評価制度を作って」と頼まれて、
彼からの依頼だから久々に評価制度を作ろうかな?となって、
いざ作ってみたら「たまに制度設計をやるのも悪くないな」
って思ったり。
— キャリアの危機ってありましたか?
岩松:「キャリアの危機」は無かったと思います。
経営企画の時は、
キャリアの思春期というか暗黒期だったのでしょうけど、
「危機」というのは無かったかな。
— そういう意味では、医学部を断念した時でしょうか?
岩松:そうなのかなぁ。
きっと、端から見ると、そうなんでしょうね。
自分ではなんとも思ってなかったから。
思い返すと、なんだか苦しいな、しんどいな
という時期はたくさんありましたけど、
そのひとつ一つが今の自分を形成しているのだと思うし、
だから、今振り返ったときに
「危機だった」っていうのは無いですね。
色々な仕事や環境に向き合って、
悩んだり高揚したりして過ごして、
本当にやりたいことが見えたのは、関連会社の立ち上げの時の経験。
さらに言えば転職してからの3年の経験で、
やっと道筋が出来た感じなので。
とはいえ、これから先、将来は何をするかはわからない。
「採用、育成まわりでやろうかな」
っていうのはあまり変わらないかもしれないけど、
その中身が変わるかもしれない。
— “採用”で一番楽しいって思うポイントは何ですか?
岩松:採用でお客様と決めていた
目標がちゃんと達成できて、
なおかつその会社の採用担当の力量があがったとか、
採用の精度があがったとか。
それで次の成長段階に繋がるような人材が採れた時が
一番嬉しいですよ。
2年3年、お付き合いして、
そうやって採用した人たちが活躍しているのを見ると、
楽しいですよね。
お客様の成長や成功を一緒に体感できることが、
この仕事の醍醐味でしょうね。
— “人との関わり”が好きなんですね?
岩松:最初も
「人と繋がる、関わる事が好きなんですか?」
って聞かれたけど、
当時は全く、そんなこと無かったと思いますよ。
独立してからですかね、だんだんそうなってきたのは。
今は、そういうことを身軽にやるようになったし、
やりたい人なんだと思います。
— 変わってきた、もしくは気がついた?
岩松:自分から“人と繋がる”という動きは、
IC協会でも率先してやってきました。
協会会員の皆さんといっぱい話すようにしたし、
色々な人にも会うようにしました。
あと、リクルート同期の幹事をやったり
学生時代の友人とも積極的に再会して、
そういうことが「好き」に変わってきたんだと思います。
結果として、仕事に結びつくこともありますが、
目先の損得を考えずに人的なネットワークを作ったり、
維持するようになっています。
— ところで、キャリアでモヤモヤ感を抱える人とか多くないですか?
岩松:独立している人だとあまり見ないですが、
20代~40代で企業勤めをしている方のなかには
いるのかもしれませんね。
きっと彼らは、モヤモヤする余裕があるんだと思います。
悩む時間や悩む余裕がある。
モヤモヤするぐらいなら、目先のことを思いきりやりきってみて、
「やっぱり違うかな」って思ったら動けばいいし、
そこまでやりきる前に悩んじゃうみたいな。
それで、転職したり異動したら、
あまりにも勝手に理想を描きすぎて「あれっ?」てなっちゃう。
まあ、いつか道は開けるだろうくらいに、
楽観的かつ一生懸命に仕事するほうが
身につくスキルや知識が多かったりするし、
それでも悩むぐらいなら、
自分で身軽に動いてみたらいいんじゃないかなと思います。
— 最後に20代、30代に向けて、なにかメッセージいただけますか?
岩松:どんな経験も自分の身になるし、
人生で無駄な経験はないから、
どんなこともヘベレケになるまでやりきった方がいいと思う。
勝手に自分で限界を決めるのではなく、
最後までやってみる。
やれるだけやってみて、そこでわかるものもあるし、
見える視界も変わるかもしれない。
それでも、新たなステージに踏み出したいと思った時は、
勇気をもって、でも軽やかに一歩踏み出す。
そうしたら視野が変わったり、感じることがあったりして、
わかることもある。そんなふうに思いますね。
あとは、30代になったら自分のバリューは何なのか、
ちゃんと意識することも大切でしょうね。
できれば2つ以上、
言えるようにしたほうがいいと思います。
2つ以上あれば、さらに価値は高まってくる。
— がむしゃらにやっているうちにそれが自分のバリューになりますよね。
岩松:そう。
その前にいろいろ悩んで立ちどまってしまったり、
投げ出したりしては、ダメでしょうね。
バリューになるかどうか?
そのバリューを身につけたいのか?
なんて考えすぎずに、とにかくやってみると、
自分なりのバリューが結果として形成されるんじゃないですか?
IC協会では、独立の相談を受けることがよくあります。
20代後半や30代の方であれば、
語れる経験や提供できるバリューがあるのか?という話をします。
それがあって独立したいなら、一度、踏み出してしまえばいい。
逆に、40代後半以上の方には、万が一うまくいかなかった時に、
戻れる先があるかを考えて、それでも大丈夫と思えば、
独立されたらいいんじゃないですかって伝えるようにしています。
ICとして独立するときには当然、
お客様に提供できるバリューがないとダメだし、
さらに言えば、お客様の状況、文化、体制、課題に応じて、
そのバリューの発揮の仕方を適宜調整する能力が求められる。
その点で言えば、
クライアントの社員の方との関係構築力や対応力も
大切になってくるのだと思います。
— 今日はいろんなお話が聞けて良かったです。ありがとうございました。
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岩松祥典さん プロフィール